診療支援
治療

新生児高ビリルビン血症
neonatal hyperbilirubinemia
大野秀子
(武蔵野赤十字病院・新生児科副部長(東京))

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治療のポイント

・生理的黄疸は生後2~3日で出現し,4~6日でピークアウトするのが一般的.発症時期や値がこれを逸脱したものは病的黄疸と考える.

・24時間以内の肉眼的黄疸はすべての児においてハイリスクである.

・治療の目的はビリルビン脳症を防ぐことにあり,病的黄疸を見逃さないことが重要.

・特にリスクの高い早産児は「早産児ビリルビン脳症(核黄疸)診療の手引き(2020)」に従い慎重に管理すべきである.

◆病態と診断

A病態

・ビリルビンの過剰産生(生理的多血,胎児赤血球寿命の短さ),処理能力の未熟性(グルクロン酸転移酵素の低活性),腸肝循環亢進(腸管でのビリルビンの再吸収亢進)により,血液中の間接ビリルビンが上昇しやすいことが新生児の特徴.

・閉鎖性出血(頭血腫,帽状腱膜下出血など),溶血性疾患(血液型不適合,球状赤血球症など)が加わると黄疸が重症化しやすい.

・アルブミンと結合していない間接ビリルビン(UB:unbound bilirubin)は血液脳関門を通過しやすく,神経障害(ビリルビン脳症)を起こす原因となる.

B診断

・スクリーニングとして経皮ビリルビン計を用いる.経皮での値が基準を超えた場合は血清総ビリルビン値(STB:serum total bilirubin)を確認.STBが基準値を超えた場合は治療を開始.頻用されている治療開始基準の1つをに示す.

・近年,特に早産児においてUBを用いた新しい黄疸管理基準も提唱されており,UB測定が可能な施設では活用が推奨される(日周産期・新生児会誌 53:1-9,2017).

◆治療方針

 基本は光線療法であり,最近はLEDの青色光(450~500nm)が主流.効果が不十分な場合はすみやかに交換輸血が可能な施設へと搬送する.交換輸血を回避する目的でγグロブリンの経静脈投与が多くの施設で行われているが,日本では未承認である.

 母乳性黄疸

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