診療支援
治療

起立性調節障害
orthostatic dysregulation(OD)
村上佳津美
(啓仁会堺咲花病院・副院長(大阪))

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GL小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン(2015)

治療のポイント

・自律神経失調状態による循環不全が疾患の中核と考えられている.

・そのため治療は循環動態の安定と自律神経安定である.

・自律神経失調状態悪化の原因に患者の不安などの精神状態が関与するため,不安軽減などが治療の1つとなる.

・症状が遷延化するため社会生活上支障をきたす(不登校など)こともあり,いわゆる心身両面からの治療が必要になる.

◆病態と診断

A病態

・起立性調節障害は臥位から立位姿勢をとるときにめまい,立ちくらみなどの起立失調症状を呈する疾患であり,自律神経失調状態が原因とされている.

・小学校高学年から高校生にかけて多くみられ,成人すると軽快する場合も少なくない.そのため不登校との関連が強い.

・症状は午前中が強く,午後からは軽快する場合が多い.そのためいわゆるなまけ,詐病と間違われることもある.

B診断

・ガイドラインにおいては,①立ちくらみやめまい,②起立時の気分不良や失神,③入浴時や嫌なことで気分不良となる,④動悸や息切れ,⑤朝なかなか起きられず午前中調子が悪い,⑥顔色が青白い,⑦食欲不振,⑧腹痛,⑨頭痛,⑩倦怠感,⑪乗り物酔いの症状のうち3項目以上が繰り返される場合に新起立試験を行い,他疾患の存在を否定できたときに診断される(詳細は「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」参照).

◆治療方針

 疾病教育,非薬物療法,学校への指導や連携,薬物療法,環境調整,心理療法の組み合わせで行う.症状から軽症・中等症・重症,心理社会的関与のあるなしから組み合わせを検討するが,疾病教育と非薬物療法はすべてのステップで行う.

A疾病教育

 起立性調節障害患者は症状が多彩であり,また日内変動もあるため,周囲からも理解されず,また患者自身もその症状の起源がわからず不安が高まっていることが少なくない.その不安が高いと症状が悪

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