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治療

小児の特発性血小板減少性紫斑病
idiopathic thrombocytopenia(ITP)in children
今井千速
(富山大学附属病院教授・小児科)

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GL小児免疫性血小板減少症診療ガイドライン 2022年版

治療のポイント

・血小板数だけにとらわれず,出血症状の程度により治療方針を決定する.

・長期少量のステロイド投与は行わない.

・成人と異なりヘリコバクター・ピロリの関与はきわめて限られている.

◆病態と診断

A病態

・血小板表面抗原の潜在性ペプチドに対する自己抗体(抗血小板抗体)により,血小板破壊と産生障害をきたす疾患である.特に小児ではウイルス感染などを契機とすることが多い.

・近年では,免疫性血小板減少症(ITP:immune thrombocytopenia)の用語が用いられることが多い.

・発症から3か月間を新規診断ITP,3~12か月を持続型ITP,12か月以降を慢性ITPと呼称する.小児ITPの多くはself-limitedであり,診断6か月以降も寛解しないITPは2割程度とされるが,さらにその一部は数年かけての自然軽快が期待される.

B診断

・紫斑(点状出血あるいは斑状出血),口腔内出血,鼻出血,下血,血尿,月経過多などの出血症状があり,貧血や好中球減少を伴わない血小板単独の減少(10万/μL未満)がある場合に疑う.

・血小板減少をきたしうる各種疾患の除外が診断の原則である.

・必ず塗抹標本の目視を行い,凝集によるみせかけの異常値の可能性を否定する〔例:EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)依存性偽性血小板減少症〕.血小板サイズにも注意を払う(例:巨大血小板を伴う先天性血小板減少症).

・有用な疾患特異的マーカーはない.典型例では骨髄穿刺は必須ではない.

◆治療方針

 患者および家族の健康に関連した生活の質(HRQOL:health-related QOL)の改善を目標の1つに定め,治療選択に反映する.修正Buchanan分類(Grade 0~5に分類.小児免疫性血小板減少症治療ガ

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