診療支援
治療

川崎病
Kawasaki disease
三浦 大
(東京都立小児総合医療センター・副院長)

頻度 よくみる(乳幼児)

GL川崎病急性期治療のガイドライン(2020年改訂版)

GL2020年改訂版 川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン

治療のポイント

・免疫グロブリン大量静注療法(IVIG:intravenous immunoglobulin)とアスピリン(ASA)による初期治療を,遅くとも第7病日までに開始する.

・IVIG不応予測例には,プレドニゾロンまたはシクロスポリンの併用が推奨される.

・初期治療に不応の場合は,追加治療により第9病日までの解熱を目指す.

・冠動脈瘤の重症度を内径で分類し,ASAやワルファリンで血栓を予防する.

◆病態と診断

A病態

・4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の血管炎症候群である.

・冠動脈拡大・瘤(以下,冠動脈瘤と記載)を無治療では20~30%に,適切な治療を行っても2~3%に認める.

・病理学的には,第8~10病日に汎動脈炎が生じ,第10~12病日に冠動脈瘤が出現する.

・冠動脈瘤の経過は,縮小・退縮(内径の正常化),不変,閉塞,狭窄などさまざまである.

B診断

・「川崎病診断の手引き(改訂第6版)」(2019年)により,6つの主要症状のうち5つ以上を呈する場合,川崎病と診断する.

・主要症状:①発熱,②両側眼球結膜充血,③口唇紅潮,いちご舌,口腔咽頭粘膜のびまん性発赤,④発疹(BCG接種痕の発赤を含む),⑤四肢末端の変化;(急性期)手足の硬性浮腫・手掌足底または指趾先端の紅斑,(回復期)指先からの膜様落屑,⑥急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹.

・主要症状が4つでも,他の疾患が否定され心エコーで冠動脈瘤(内径のZスコア2.5以上または実測値で5歳未満3.0mm以上,5歳以上4.0mm以上)を呈する場合は川崎病と診断する.

・主要症状が4つで冠動脈瘤がない,あるいは3つ以下の場合は不全型川崎病と診断する.

◆治療方針

 急性期治療の目的は,発熱な

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