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治療のポイント
・若年性特発性関節炎(JIA)には①全身型,②少関節炎,③リウマトイド因子(RF:rheumatoid factor)陰性多関節炎,④RF陽性多関節炎,⑤乾癬性関節炎,⑥付着部炎関連関節炎,⑦未分類関節炎の7病型がある.
・②,③,④をまとめて関節型JIAとよび,全身型JIAとは病態や治療,合併症などが異なる.
・全身型JIAにおいて,マクロファージ活性化症候群(MAS:macrophage activation syndrome)の合併は全身状態の悪化につながる.
・全身型JIA治療の中心はグルココルチコイドであり,難治例は生物学的製剤の適応となる.
・関節型JIAのなかでも少関節炎,抗核抗体陽性例などではぶどう膜炎の発症に注意する.
・関節型JIA治療の中心はメトトレキサート(MTX)であり,難治例やMTX使用困難例には生物学的製剤が適応となる.
◆病態と診断
A病態
・全身型JIAは自然免疫の異常が基となり,IL-1,IL-6,IL-18などの炎症性サイトカインが関与している.関節症状があるとは限らず,発熱や紅斑,リンパ節腫脹などの全身性症候が目立つ.
・関節型JIAは獲得免疫の異常を背景として,抗核抗体やRF,抗環状シトルリン化ペプチド(CCP:cyclic citrullinated peptide)抗体などが陽性になる例がある.一般的にRFや抗CCP抗体陽性例は関節予後が悪い.
B診断
・全身型JIAは不明熱の鑑別が必要で,感染症や腫瘍性疾患,血管炎症候群などを除外する.
・関節痛の鑑別は感染症や腫瘍性疾患,整形外科的疾患,精神・神経疾患など多岐にわたる.「小児の疼痛性障害」の項(→)も参照されたい.RF陽性はJIA全体の約20%である.関節超音波検査やMRIなどの画像検査が有用である.
◆治療方針
JIAの治療目的は関節炎を制御し関節破壊を防ぐことである
関連リンク
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