診療支援
治療

低身長
short stature
長谷川行洋
(東京都立小児総合医療センター・内分泌・代謝科)

頻度 よくみる(特発性低身長症は外来診療で最も多くみる)

頻度 ときどきみる(それ以外の疾患単位)

ニュートピックス

・成長ホルモン分泌不全性低身長症に対する新しい種類の成長ホルモン(GH)製剤として,週1回の投与で効果を示す製剤,ソムアトロゴン,ソマプシタンが2022,2023年にそれぞれ保険収載された.

・軟骨無形成症の低身長に対して国内ではGHが使用されてきたが,C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)のアナログ製剤であるボソリチドが2022年に保険収載された.

治療のポイント

・特発性低身長症は,家族性低身長症,(体質性)思春期遅発症,およびその両者の合併した状態を含む用語である.

・SGA(small for gestational age)性低身長症のGH治療適応は,3歳以上,-2.5SD未満の低身長である.

・女児の低身長児では,一度はターナー症候群の診断を考慮する.また,思春期年齢で女性ホルモン補充が必要となる症例が多い.

・ヌーナン症候群の診断は,臨床徴候に基づいて行われ,低身長に関してGHが使用される.

・プラダー・ウィリー症候群では食欲,肥満のコントロール,および生活・社会面での指導が重要である.

・軟骨無形成症は新生児,乳児早期の診察をきっかけに診断可能である.GH治療は3歳以上の低身長に対して承認されている.CNP製剤の国内使用では開始年齢の制限はない.整形外科,脳神経外科との連携が重要である.

◆病態と診断

A病態

・特発性低身長症は,特定の原因により低身長をきたす疾患を除外した低身長児であり,家族性に低身長,あるいは思春期発来が遅れるために低身長をきたすことが多い.

・SGA性低身長症は,病因としては,母体・胎盤側の因子によるものと,胎児側の因子によるものに大別される.

・ターナー症候群は,X染色体,代表的には,短腕の欠失による症候群である.

・ヌーナン症候群は,RASopathi

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