診療支援
治療

小児の肥満
obesity in children
原 光彦
(和洋女子大学教授・健康栄養学)

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GL肥満症診療ガイドライン2022

GL小児肥満症診療ガイドライン2017

ニュートピックス

・持続性GLP-1受容体作動薬セマグルチドが,2023年に肥満症治療薬として承認され,15歳以上に使用可能になった.

治療のポイント

・主な治療対象は,小児肥満症とメタボリックシンドローム(MetS)である.

・食事・運動療法と行動療法の併用(基本治療)を行う.

・成長期には,成長を阻害する強いエネルギー制限は行わない.

・基本治療が奏効しない場合は,肥満に対する薬物療法も考慮する.

・2次性肥満は原疾患の治療を優先する.

◆病態と診断

A病態

・小児肥満症や小児期MetSの基本病態は,過剰な内臓脂肪蓄積である.

B診断

・日本では,小児肥満の診断法として肥満度法が用いられ,6歳以上18歳未満は,肥満度+20%以上を肥満とする

・腹部CT検査による小児の内臓脂肪蓄積の診断は,内臓脂肪面積が60cm2 以上である.簡易診断として,ウエスト周囲長やウエスト身長比が用いられている.

・小児肥満症診断基準や小児期MetS診断基準は,日本肥満学会Webサイトから入手可能(http://www.jasso.or.jp/contents/magazine/journal.html).

◆治療方針

 ①正常な発育を妨げない.②過剰に蓄積した内臓脂肪を減少させる.③肥満で生じた健康障害の数や程度を減少させる.④加速している動脈硬化の進行を遅らせる.⑤心血管病や2型糖尿病発症を予防する(すでに発症している場合は治療を行う).

A食事療法

 「日本人の食事摂取基準2020年版」を参考に,身体活動量を考慮した性別年齢群別必要エネルギー量の約90%を,蛋白質:脂質:炭水化物=20:25~30:50~55%の割合で与える.

B運動療法

 スクリーンタイムを2時間/日以内に制限し,毎日60分以上体を動かす.

C行動療法

 毎日の体重測定と記録

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