診療支援
治療

小児の髄膜炎
meningitis in childhood
石和田稔彦
(千葉大学教授・真菌医学研究センター感染症制御分野)

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GL細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014

ニュートピックス

・髄液検体を用い,主要な髄膜炎原因微生物を網羅的に検出可能な全自動多項目遺伝子検査システム(FilmArray髄膜炎・脳炎パネル)が保険収載された.

治療のポイント

・早期診断・早期治療が予後を左右するため,全身状態不良な小児の診察にあたっては,常に髄膜炎を考慮する.

・初期治療薬は,耐性菌も含め主要な原因微生物をカバーできるように選択する.

・髄膜炎の抗菌薬治療では,髄液移行性のよい薬剤を選択し,β-ラクタム系抗菌薬投与の場合,髄液内に十分な量を移行させるため,通常使用量の2~3倍量を投与する.

◆病態と診断

A病態

・鼻咽頭粘膜などに定着した病原微生物が血流に侵入後,血液脳関門を突破することにより細菌が髄腔内に浸潤し,髄膜炎を発症する.

・隣接臓器の炎症や,手術や外傷などで外部と髄腔が交通することにより細菌が直接浸潤し発症する場合もある.

・原因細菌として,生後3か月未満では,B群レンサ球菌(GBS:Group B Streptococcus)の頻度が最も高く,大腸菌,リステリア菌などが認められる.生後3か月を過ぎると,肺炎球菌が最も多く,インフルエンザ菌,髄膜炎菌なども原因となる.なお,インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン導入後,Hib髄膜炎は激減している.

・ウイルスでは,エンテロウイルス,ムンプスウイルス,単純ヘルペスウイルスなどの頻度が高い.

B診断

・臨床診断:非特異的な症状として発熱,食欲不振および哺乳・活気不良が認められる.髄膜刺激徴候や頭蓋内圧亢進に関連した症状として頭痛,嘔吐,意識障害などが認められる.

・検査診断:臨床症状や画像検査から脳ヘルニアが疑われる場合,髄液検査が禁忌の場合を除き,抗微生物薬治療開始前に髄液検査を行う.行えない場合には血液培養2セットで代用する.髄液多核白血球数の増多,髄液糖の

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