診療支援
治療

急性中耳炎
acute otitis media
物部寛子
(日本赤十字社医療センター・耳鼻咽喉科部長)

頻度 よくみる

GL小児急性中耳炎診療ガイドライン 2018年版

治療のポイント

・年齢(24か月未満か),臨床症状(耳痛,発熱,啼泣・不機嫌),鼓膜所見(鼓膜発赤,鼓膜膨隆,耳漏)の程度を3段階に点数化し,軽症(スコア5点以下),中等症(スコア6~11点),重症(スコア12点以上)に分類する.

・「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)」が作成され,「抗微生物薬適正使用の手引き」が公表されている.抗菌薬投与については,適切な薬剤を必要な場合に限り,適切な量と期間で使用することが求められている.

・軽症の場合は最初は抗菌薬を投与せず,軽快しない場合にはアモキシシリン(AMPC)常用量を,中等症以上ではAMPC高用量から開始し,軽快しない場合はクラブラン酸(CVA)/AMPC(1:14製剤),セフジトレン(CDTR-PI)常用量,AMPC高用量+鼓膜切開のいずれかを選択し,さらに軽快しない場合はCVA/AMPC(1:14製剤)+鼓膜切開,CDTR-PI高用量+鼓膜切開,テビペネム(TBPM-PI)常用量+鼓膜切開,トスフロキサシン(TFLX)常用量+鼓膜切開のいずれかを選択する.重症の場合は初回からの鼓膜切開が推奨されている.

・発症年齢が低いほど反復しやすい.また,急性中耳炎の炎症に起因する耳管機能障害が起こす滲出性中耳炎が長期化すると,聴力低下や学習能力への影響が懸念される.

 小児急性中耳炎と成人の急性中耳炎があり,小児ではほとんどがウイルス性を含む急性上気道炎に続いて発症する中耳炎である.成人では同様の中耳炎は少なく,好酸球性中耳炎の急性増悪やANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV:otitis media with ANCA-associated vasculitis)との鑑別を要するものが含まれる.病態が異なるため,本項では日常臨床でよく遭遇する小児急性中

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?