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GL鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版(改訂第9版)(改訂第10版が2023年に発行予定)
ニュートピックス
・食品添加物としても使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末が,家庭用鼻腔粘膜保護材(ナサリーズ)として市販された.
治療のポイント
・Ⅰ型アレルギーであり,抗原の除去・回避を指導する.
・重症度や病型あるいは患者の希望などを考慮し,薬物療法,アレルゲン免疫療法,手術療法を選択する.
・薬物療法としては,くしゃみ・鼻漏型には抗ヒスタミン薬が,鼻閉型には抗ロイコトリエン薬が,重症には鼻噴霧用ステロイドが頻用される.
・ダニやスギ花粉が原因であれば,根治的治療としてアレルゲン免疫療法を考慮する.
・薬物療法や免疫療法に抵抗する患者では手術療法を検討する.
◆病態と診断
A病態
・アレルギー性鼻炎はⅠ型アレルギー疾患であり,吸入アレルゲン(チリダニ,花粉,真菌,動物上皮,昆虫など)に対する感作がその成立に必須である.遺伝的素因および環境要因の両者が寄与する.
・主な症状はくしゃみ,水性鼻漏および鼻閉である.くしゃみおよび水性鼻漏は,ヒスタミンによる知覚神経終末刺激からの神経反射が主体の即時相反応である.鼻閉すなわち鼻粘膜腫脹は即時相および遅発相の両者で生じる.即時相における鼻閉は血管系の反応(血管拡張および透過性亢進)が主体であり,特にロイコトリエンなどの脂質メディエーターの作用が強い.遅発相における鼻閉は,主に好酸球,マスト細胞,T細胞などの炎症細胞によるアレルギー性炎症による.
B診断
・アレルギー性の検査と,アレルゲン検査が柱となる.
・アレルギー性の検査には,問診,視診(鼻腔所見),鼻汁好酸球検査,血清総IgE定量などがある.
・アレルゲン検査としては,プリックテストなどの皮膚テスト,血清特異的IgE検査,鼻誘発試験などがある.
・典型的な症状(発