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◆病態と診断
・構音障害とは,言語音を産生する過程である発声発語器官が障害されて生じるものであり,先天性と後天性がある.その原因によって器質性構音障害,運動障害性構音障害,機能性構音障害の3つに分類される.
A器質性構音障害
・発声発語器官の形態異常が原因で生じる構音障害である.
・先天性の原因疾患には,口唇口蓋裂,第一・第二鰓弓症候群,下顎前突症,小舌症,巨舌症,舌小帯強直症などがある.
・後天性には,癌を代表とする発声発語器官の組織欠損を伴う手術や外傷などが挙げられる.
B運動障害性構音障害
・中枢から末梢に至る筋肉や神経の異常によって,発生発語器官に運動障害が生じる構音障害である.
・原因疾患には脳血管疾患,パーキンソン病,筋ジストロフィー,脳腫瘍,頭部外傷などが挙げられる.
・弛緩性(球麻痺),痙性(仮性球麻痺),失調性(小脳病変),運動低下性(パーキンソン病),運動過多性(舞踏病),混合性構音障害(筋萎縮性側索硬化症)などに分類される.
C機能性構音障害
・発生発語器官に構音障害の原因になるような形態異常や筋肉や神経などの異常が認められない構音障害である.
・原因として言語発達遅延や構音運動の神経系の発達遅延,聴力の低下などが挙げられる.
・年齢,知的発達,運動発達などを総合的に診断する.
◆治療方針
医師・歯科医師・言語聴覚士の連携が必須である.
A器質性構音障害
形態異常に対しては外科手術で修復をはかるとともに,正しい構音操作の獲得のため構音訓練を行う.さらに顎義歯や発音補助装置を用いることで訓練効果を向上させる場合もある.
B運動障害性構音障害
原因疾患に対して外科的処置や薬物療法を行い加療に努めるとともに,発声発語器官の拡大や筋力増強訓練を行う.症状に合わせて,発音補助装置の導入や代償手段の習得なども進める.
C機能性構音障害
多くの場合は構音訓練によって改善が期待できるが,