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14 アルコール関連問題

飲酒量について

「百薬の長」と「万の病は酒よりこそ起れ」の境は1日1合(もしくはビール中瓶1本)が目安である.

1日3合以上の飲酒は半日ほど影響が残り,常習飲酒家と称される.

1日5合を10年以上飲酒する場合は大酒家と呼ばれ,日本で200万人以上と推定される.

日本人ではアルコール摂取量<23g/日(日本酒1日1合に相当)の場合,死亡率が男性でRR=0.80(0.72-0.88),女性でRR=0.88(0.77-1.00)と,最も低い〔Ann Epidemiol. 2005 Sep; 15(8): 590-7〕.

ビール(アルコール濃度5%)中瓶1本(500mL),日本酒(15%)1合,ウイスキーダブル1杯(43%,60mL)がほぼ同じ量のアルコールを含む.ワインは12%,焼酎は35%程度のアルコール濃度である.

アルコール代謝は90%以上が肝代謝で,1時間あたり104-120mg/kgしか代謝できない〔Alcohol Clin Exp Res. 1993 Feb; 17(1): 48-53〕.

飲酒により起こる症状

肝障害以外にもアルコールの害はありとあらゆる症状を呈しうる.

ワルファリンや鎮静系薬剤,メトロニダゾール投与中は飲酒に注意する必要がある.

飲酒は高血圧,心不全,不整脈,失神発作,食道癌,胃潰瘍,食道静脈瘤,下痢,糖尿病,膵炎,電解質異常(低K血症,低P血症,低Mg血症,ビール大量摂取で低Na血症),造血機能障害,痛風,骨粗鬆症,精神症状(不眠・不安障害・うつ状態),末梢神経障害,小脳失調,大脳障害(認知症・精神病),喘息発作,蕁麻疹,アレルギー性鼻炎,脂漏性皮膚炎に関連がある.

▶つまみには塩分含有量が多いこと,アルコールは交感神経の緊張を来すために60g/日のアルコール摂取で高血圧を来しうる.さらにこれが継続するとアルコール自体の毒性も加わり心不全に至る(

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