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13 上部消化管出血

上部消化管出血のリスク

消化性潰瘍,胃・食道静脈瘤,胃炎が3大疾患である.嘔吐に伴うMallory-Weiss症候群,高齢者の逆流性食道炎,忘れてならない悪性疾患が続く.

病歴上,消化性潰瘍の既往,アルコール多飲,肝疾患の3つが重要である.

消化性潰瘍の可逆性リスク要因として薬剤,ピロリ菌感染,ストレス(特に人工呼吸器),凝固障害がある.

▶多発性の潰瘍では,Zollinger-Ellison症候群も考える(慢性下痢症の項参照).

上部消化管出血のリスク

MEMO 消化性潰瘍予防投与

NSAID潰瘍に対してはPPIやプロスタグランジン製剤の予防効果が認められる〔Dig Dis Sci. 2001 Sep; 46(9): 1924-36〕他,高用量H2ブロッカー(ファモチジン40mg1日2回)も効果あるが〔N Engl J Med. 1996 May 30; 334(22): 1435-9〕,常用量のH2ブロッカーでは効果乏しいとされる.レバミピド(ムコスタ®)も有用という報告がある〔Dig Dis Sci. 1998 Sep; 43 (9 Suppl): 83S-89S〕.

ストレス潰瘍に対してH2ブロッカーもスクラルファートも有意には出血率や死亡率を下げることはできず,H2ブロッカーでは肺炎のリスクを高くする可能性もあるが〔BMJ. 2000 Nov 4; 321(7269): 1103-6〕,実際には呼吸障害や凝固障害の有無を参考に予防投与を行うことが多い.PPIは副作用のプロファイルから好まれる傾向があるが意外にデータは乏しい.

便潜血

免疫法では胃液で変性したヘモグロビンは検出できない.一方,試験紙法は10mL程度の出血でも検出しうるので上部消化管出血を疑う場合には試験紙法(グアヤック法)を用いる.

試験紙法は肉の摂取などで偽陽性が多いので,下部消化管出血検出に

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