肝炎ウイルス総論
●ウイルス性の急性肝炎では高熱を伴うA型肝炎・E型肝炎と,発熱が軽度のB型肝炎(やC型肝炎)を考える.
●現在では輸血後肝炎の多くは非A-E型肝炎ウイルスとされる.
●ヘルペス科ウイルス(EBV・CMV・HSV)や,HIVも急性肝炎を来す.
劇症肝炎
●肝炎のうち初発症状発現8週以内に昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を来し,プロトロンビン時間40%以下を示すものを劇症肝炎と定義する.
●肝性昏睡まで11日以上の経過がある亜急性型で特に死亡率が高い.
●B型肝炎からの劇症肝炎が最も多いが,妊娠後期でのE型肝炎も劇症化しやすい.
●非A非B型肝炎,Bil高値,間接型Bil優位,PT延長,ChE低値などは劇症化の予測因子である.
●日本の劇症肝炎の原因としてはB型肝炎が40%,A型肝炎が10%,薬剤が10%,それ以外のウイルスや原因不明が40%を占める〔Hepatol Res. 2008 Nov; 38: S14-8〕.
●急性ウイルス性肝炎における劇症化予測〔J Gastroenterol. 2002; 37(11): 916-21〕
▶Z=-0.89+1.74×(A型・B型では1点,他は2点)+0.056×T-Bil(mg/dL)-0.014×ChE(U/mL)>0で陽性
●急性肝不全研究会による劇症肝炎肝移植適応ガイドライン(1996)より改変
▶脳症発現時に次の5項目のうち2項目を満たす場合は死亡を予測して肝移植の登録を行う.
□年齢:≧45歳
□初期症状から脳症発現までの日数:≧11日(亜急性)
□プロトロンビン時間:<10%
□血清総Bil濃度:≧18.0mg/dL
□直接型/総Bil比:≦0.67
▶治療開始(脳症発現)から5日後に,以下の2項目を満たせば生存が予測されるので登録を取り消す.
□脳症がⅠ度以内に覚醒あるいは昏睡度でⅡ度以上の改善
□プロトロンビン時間が50%以上に改善
●劇症B型肝