副腎偶発腫(incidentaloma)の鑑別
●偶発性副腎腫ではホルモン産生腫瘍と副腎癌,悪性腫瘍の副腎転移を否定する必要がある.
●ホルモン産生腫瘍としてはCushing症候群,褐色細胞腫,原発性アルドステロン症のスクリーニング検査を行う.
●健康診断における腹部エコーのスクリーニング検査では0.1%,悪性疾患の既往がある場合は4.3%で副腎腫瘤は検出される.剖検では30歳以下では1%未満だが,70歳以上では7%で副腎腫瘤を認める.70%が非機能性腺腫でホルモン産生腫瘍は20%未満とされ,5-10%がpreclinical Cushing症候群である.副腎癌の頻度は正確には分かっていないが2年生存率は50%以下であることから重要である〔Ann Intern Med. 2003 Mar 4; 138(5): 424-9〕.
▶副腎癌は229例中1例も見られなかったという報告もある〔Eur J Endocrinol. 2006 Mar; 154(3): 419-23〕.
●転移性副腎腫瘍の原発巣は肺癌や上部消化管癌が多い
副腎偶発腫に対するマネジメント
●最大径≦4cmで,単純CT値≦20HUかつホルモン産生がなければ経過観察でよい.
●経過観察は6-12か月ごとをめどに3年間は行い,ホルモン産生を来さないかと腫瘤の増大を認めないかを確認する.
●最大径≧6cmもしくはホルモン産生を認める場合は手術適応となる.
●CTによる鑑別
●副腎腫瘤の大きさ
▶非機能性腺腫の場合,最大径が6cm以上となることは稀である〔AJR Am J Roentgenol. 1996 Mar; 166(3): 531-6〕.
●腺腫の診断
●MRIのchemical shiftによる鑑別は有用との報告もあるが,CTに追加して行う必要性は明らかではない〔AJR Am J Roentgenol. 2006 Jan;