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3 急性腎不全

急性腎不全

数週以内に血清Cr値が2倍となれば急性腎障害,3倍となれば急性腎不全と呼ばれる.

1/3は非乏尿性腎不全であるため,乏尿(<400mL/日)がなくても腎不全は否定できない.

腎前性腎不全と腎後性腎不全は特に外来患者では多い原因であるが,速やかな対応を行えば腎機能が回復することからまず鑑別する必要がある.

急な無尿では腎後性腎不全の可能性が高くなる.

入院患者の1%で急性腎不全が入院の理由であり,入院患者の7%で急性腎不全の合併が見られる〔BMJ. 2006 Oct 14; 333(7572): 786-90〕.

急性腎不全の20-46%は非乏尿性腎不全である〔Clin Nephrol. 1980 Feb; 13(2): 73-7/Med Clin(Barc). 1981 Sep 25; 77(5): 190-4〕.

急性腎不全の定義は文献により異なるが,最近ではRIFLE分類が広く使われるようになってきている.

▶RIFLE分類〔risk,injury,failure,loss,end-stage renal failure (ESRF)〕

腎前性腎不全

腎前性腎不全では循環血漿量の減少が最も多い原因であり起立性低血圧や頸静脈虚脱の有無などを確認するが,有効循環血漿量が減少する心不全,肝不全やネフローゼ症候群の場合は浮腫があってもよいことに注意を要する.

糸球体血流量が減る低血圧,腎動脈狭窄,NSAID投与では循環血漿量とは関連なく腎前性腎不全となる.

診断的治療として輸液負荷がなされることもあるが,循環血漿量減少以外の機序の場合は反応が乏しい.

FENa<1%(Naを懸命に再吸収している)ならば腎前性腎不全と考えるが,非乏尿性腎不全と急性糸球体腎炎では腎性腎不全でも低値となりうる.また腎前性腎不全でも腎性腎不全の合併があるとFENaは高値となりうる.

嘔吐など

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