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9 腎梗塞

腎梗塞

腎血流量は心拍出量の20-25%を占めており,腎梗塞は心原性塞栓症の1つとして重要である.

側腹部痛と血尿から尿管結石と誤診されることもあるが,水腎症は認めず蛋白尿の頻度も高い.

救急外来での頻度も0.004%と比較的稀な疾患ではある〔Am J Emerg Med. 2007 Feb; 25(2): 164-9〕.

原因としては塞栓症以外に血管炎,外傷,ショックによる腎血流量低下,鎌状赤血球症などがあげられる.

80%の症例では側腹部痛・叩打痛とLDH高値,蛋白尿の3徴候が見られる〔Am J Emerg Med. 2007 Feb; 25(2): 164-9〕.

1-3週間程度は高血圧もよく見られる所見である.

腎梗塞に対する検査

採血ではLDHの上昇が特徴的で,LDH単独上昇が見られた場合には腎梗塞を必ず鑑別にあげる.

蛋白尿・血尿以外にLDH尿も認めるが,LDH尿の診断的価値は定まっていない.

造影CTにて楔状の造影欠損を認めることが診断に有用で,腎皮質のみ造影効果が保たれることが腎盂腎炎と異なる.

採血ではLDH,AST,ALP上昇などが見られるが,特にLDH上昇は812±569U/Lと非常に高値となりうる〔Am J Emerg Med. 2007 Feb; 25(2): 164-9〕.


尿中LDH

▶尿中LDHの正常値は0-15U/g・ Cr〔Can Med Assoc J. 1965 Nov 20; 93(21): 1101-5〕.

▶腎細胞癌(75%),尿管癌(63%),前立腺癌(62%),慢性糸球体腎炎(38%),非尿路系悪性腫瘍(18%)で陽性となる以外に,33%が測定しなおすと正常か異常に変わる〔Can Med Assoc J. 1969 Aug 23; 101(4): 208-15〕ことから,診断に対する有用性はあまり分かっていない.


造影CT

▶慢性

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