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10 血管炎

大血管の血管炎

大血管の血管炎では若年女性に多い高安動脈炎と,高齢女性に多い巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を考える.

Henoch-Schönlein紫斑病と高安動脈炎は若年者に多く,巨細胞性動脈炎は高齢者に多い.女性に多いのは巨細胞性動脈炎と高安動脈炎である.

▶高安動脈炎は若年女性に多いが,中高年における発症も稀ではない.また男性の発症年齢にはっきりとしたピークはない.

中小血管の血管炎

中血管〜小血管の血管炎は多発単神経炎,骨格筋症状,触知可能な紫斑,腎機能低下,消化管症状など多彩な血管症状を呈する.

冠動脈や腸間膜動脈,脳動脈,腎動脈,精巣動脈の病変は中血管の血管炎(結節性多発動脈炎)で見られやすい.

糸球体腎炎(血尿),肺病変(喀血),耳鼻咽喉病変(鼻出血),触知可能な紫斑は小血管の血管炎を示唆する.

中血管の血管炎には多発結節性動脈炎以外に川崎病がある.

ANCA関連血管炎

喘息患者で,多発単神経炎や好酸球数増加≧2,000/μLがあればChurg-Strauss症候群を考える.

副鼻腔や中耳といった上気道病変や肺野結節・空洞陰影があればWegener肉芽腫症を考える.

肺と腎臓に病変があればWegener肉芽腫症や顕微鏡的多発血管炎を考える.

顕微鏡的多発血管炎は不明熱の原因となりうるが,非特異的な関節・筋肉痛と,血尿や腎機能障害,わずかな肺野間質性陰影が疑うきっかけとなりうる.

小血管炎を来す疾患は多い.ANCA(抗好中球細胞質抗体)関連の小血管の血管炎はWegener肉芽腫症,顕微鏡的多発動脈炎,Churg-Strauss症候群,薬剤性があり,ANCAが関連しない(免疫複合体が関与)小血管の血管炎には,Henoch-Schönlein紫斑病,クリオグロブリン血症,SLEや関節リウマチ,Sjögren症候群に伴う血管炎,Goodpasture症候群,薬剤性

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