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5 骨腫瘍

骨腫瘍

骨腫瘍の90%以上は転移性骨腫瘍であるが,骨外への進展や軟部組織病変があれば転移性骨腫瘍よりも原発性腫瘍を考える.

多発性骨髄腫では感染症を合併しない限り発熱は見られず,アミロイドーシスを合併しない限り脾腫を来さない.またFanconi症候群を合併しない限りALPは正常で,病的骨折を合併しない限り骨シンチグラフィは陰性であることが特徴である.

転移性骨腫瘍

肺癌,乳癌,前立腺癌で原発巣の半数を占める.

乳癌や前立腺癌では無症状でも骨転移の頻度が高いため骨シンチグラフィの有用性が高い.

硬化性病変でなければPET-CTの感度は極めて高い.

肺癌で骨転移があれば予後はかなり不良である.一方,甲状腺癌は骨転移を有していても比較的予後がよい.

消化管癌は末期にしか骨転移を来さない.

肺癌の骨転移症例の予後は非常に悪いが,甲状腺癌や前立腺癌は骨転移があっても予後が比較的良好であるため,積極的な加療の適応となることが多い.

転移性骨腫瘍の診断(per-lesion basis)

▶PETの感度は骨シンチグラフィと比較して高い.特にCTで描出不能な病変に対しては骨シンチグラフィ(25%)よりもPET(88%)の感度が高いが(p<0.05),骨硬化性病変に対しては骨シンチグラフィ(100%)のほうがPET(56%)よりも感度が高い傾向がある〔Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2005 Nov; 32(11): 1253-8〕.

転移性骨腫瘍における原発巣推測

純粋な骨溶解性病変は腎細胞癌と多発性骨髄腫に多く,顕著な高Ca血症を高頻度に認める.

骨硬化性病変が見られれば,前立腺癌,乳癌,胃癌を考える.

初期検査としては胸腹部CT検査が妥当であるが,消化管内視鏡検査は侵襲の割に診断に結びつくことが少ない.

悪性腫瘍骨転移の確定診断や原発巣の推測に骨生検は有用であ

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