総論
◉疾患の重篤性と感染率の高さから公衆衛生上重要であるが,ワクチンにより予防可能なウイルス感染症には麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺炎がある.
◉麻疹,水痘,結核は空気感染するため特に感染対策が重要であるが,なかでも麻疹は感染力が最も強い.
◉疾患を早期に疑うには臨床所見に加え,曝露歴/流行歴,ワクチン接種歴/罹患歴の確認が重要である.
●主要なウイルス感染症の特徴
▶主に輸入感染症である疾患や,気道感染症,消化管感染症,主に免疫不全者に罹患するものは除く.伝染性単核症やHIV感染症は別章で取り扱う.
▶本章では小児に多いが,成人においても重要な以下の5疾患を扱う.図
●既往歴とワクチン接種歴
▶麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎の再感染は非常に稀であるため,明確な既往歴があれば除外診断に役立つが,麻疹や風疹は臨床所見だけでは診断が不正確であった可能性があり,過信してはならない.抗体検査の交差反応の可能性