【新生児の生理的皮膚変化とは】ほかの年齢にはない新生児特有の皮膚構造や,機能の未熟性によってみられる皮膚変化のことである.代表的な生理的皮膚変化を以下に挙げる.
①胎脂:皮脂腺からの分泌物と剝脱した胎児皮膚の上皮細胞との混合物である.その作用はさまざまで,(1)胎児が産道を通る際の抵抗を減弱させる,(2)胎児小腸に移行し消化管の保護や消化管機能の成熟,促進を促す,(3)胎児・新生児の抗菌作用を担い生後数日の感染を防ぐ,などが知られている.②生理的落屑:出生後の急激な温度・湿度環境の変化によって,最外層の角質が脱落する現象である.通常,多くの正期産児は,出生から約24~36時間後に粃糠様や膜様に薄く,あるいは脱皮したとも表現されるほど多数の落屑を呈する.早産児では生後数週しなければみられず,過期産児では,より強く落屑を認めることが多い.したがって,新生児の成熟徴候を示す指標の1つと認識されてい