【新生児に多い皮膚疾患とは】胎児期の皮膚は羊水に守られているが,出生の瞬間から空気中の乾燥の危機にさらされる急激な環境の変化を受け,一過性に皮脂分泌が亢進してその後急激に低下する生理的な変化もあるため,新生児期の皮膚にはその時期特有の皮膚疾患がある.また,新生児期から現れる先天的な皮膚疾患としては,水疱症,角化異常症,血管腫・血管奇形,母斑・母斑症などがある.
【新生児期に皮膚の異常をみたら】頻度の高い疾患を表1-2図図図図に挙げたのでこれらを鑑別する.①湿疹・中毒疹:新生児中毒性紅斑,新生児痤瘡,水晶様汗疹,新生児稗粒腫など.②水疱性の皮膚疾患:外力が加わりやすい部位にある大小の水疱・びらんであれば先天性表皮水疱症,Blaschko線に沿って列序性にほぼ均一な水疱・膿疱が並んでいれば色素失調症を考えつつ,接触皮膚炎,熱傷,膿痂疹なども鑑別する.③角化異常症:鱗屑が多い,コロジオン児など角化異常が疑われたら,出生直後から症状がみられる表1-2図図図図に示した魚鱗癬および魚鱗癬症候群を鑑別する.屈側優位か伸側優位か,水疱・びらんの有無,粘膜病変,深い亀裂の有無などが鑑別に役立つ.④血管腫・血管奇形:血管性の赤色斑,腫瘤がみられたら血管腫・血管奇形を鑑別する.出生直後はないかわずかでも,次第に増大しているなら乳児血管腫,出生時からあり全く隆起しない均一な赤色斑であれば毛細血管奇形,網状の紫紅色斑で皮膚萎縮を伴っていれば先天性血管拡張性大理石様皮斑,出生時がピークで縮小傾向がみられるなら先天性血管腫のRICH,大きさに変化がなければNICHまたは静脈奇形などを考える.⑤母斑・母斑症:色の違いをみたら母斑・母斑症を疑う.褐色で大きめの類円形斑が5~6個以上あればカフェオレ斑,それ以下,もしくは列序性なら扁平母斑,不完全脱色素斑が1か所なら脱色素性母斑,列序性が2か所以上あれば伊藤白斑
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