診療支援
治療

顔面に丘疹を生じる疾患
Diseases manifesting papules on the face
佐々木 優
(新松戸中央総合病院部長)

【丘疹とは】直径10mm以下の隆起性変化を指す.

【顔面の丘疹をみたら】顔面の丘疹は患者のQOL低下に与える影響が大きく,正確な診断に基づく積極的な治療が求められる.鑑別疾患は非常に多彩だが,毛包・脂腺・汗腺などの皮膚付属器に関連した炎症性または腫瘍性の疾患が多い(表1-25)

1.炎症性疾患

①尋常性ざ瘡:10~30歳代の顔面,胸背部の脂腺性毛包の分布部位に生じる.面皰に紅色丘疹や膿疱が混在し,時に囊腫,結節,瘢痕を伴う.②酒皶性ざ瘡(丘疹・膿疱型酒皶):中高年の頰部,眉間部,鼻部,オトガイ部に紅色丘疹や膿疱を認め,紅斑,毛細血管拡張を伴う.

2.肉芽腫性疾患

顔面播種状粟粒性狼瘡:眼囲,特に下眼瞼から頰部に多発する2~3mm大の充実性の常色~紅色丘疹.組織学的には中心壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が特徴的である.

3.ウイルス性疾患

青年性扁平疣贅:ヒト乳頭腫ウイルス3,10,28,29型の感染により生じる.小児~青年期に多い.常色~淡褐色の扁平丘疹が多発し,Köbner現象による線状配列もしばしばみられる.炎症を起こして自然消褪する際に紅色丘疹となり,痒みを生じる.

4.腫瘍性疾患

①稗粒腫:1~2mm大の半球状で表面平滑な白色~黄白色の丘疹.組織学的には軟毛漏斗部の角質囊腫.多発しても癒合することはない.熱傷や類天疱瘡などの治癒後に続発性に生じることがある.②汗管腫:成人女性の下眼瞼に好発し,1~3mm大の常色~黄色または褐色の扁平隆起性丘疹が多発する.澄明細胞汗管腫では糖尿病との関連が示唆される.③老人性脂腺増殖症:中高年男性の頰部,前額部,鼻部に好発し,数mm大でやや黄色調の中心臍窩を有する丘疹.④fibrous papule of the nose:10歳以降の顔面(特に鼻部)に単発する常色~淡紅色の硬いドーム状丘疹.組織学的には血管線維腫を呈する.⑤多発性丘疹状毛包上皮腫

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