診療支援
治療

環状を呈する皮疹を主徴とする疾患
Diseases manifesting annular eruption
福山 國太郎
(関西ろうさい病院部長)

【環状を呈するとは】皮膚症状が遠心性に拡大するとともに,中心部が治癒あるいは変性や萎縮することにより病変が環状にみえること.

【環状皮疹をみたら】次のような疾患に留意する(環状紅斑を主徴とする疾患は除いている).①感染症:白癬,クロモミコーシス.疣状結核,Hansen病など.②湿疹:脂漏性皮膚炎.③無菌性膿疱症:疱疹状膿痂疹,角層下膿疱症,好酸球性膿疱性毛包炎.④炎症性角化症:汗孔角化症,膿疱性乾癬,Gibertばら色粃糠疹,扁平苔癬.⑤膠原病:慢性円板状エリテマトーデス,亜急性皮膚エリテマトーデス.⑥上皮性皮膚腫瘍:基底細胞癌,Bowen病.⑦非感染性肉芽腫症:サルコイドーシス,環状肉芽腫,環状弾性線維融解性巨細胞肉芽腫.⑧紫斑病:慢性色素性紫斑.⑨リンパ・造血組織系皮膚腫瘍:菌状息肉症,ATLなど.⑩水疱症:Duhring疱疹状皮膚炎,水疱性類天疱瘡.⑪真皮の疾患:蛇行性穿孔性弾力線維症.

□鑑別のポイント(表1-52)‍ ①局所所見:環状を形成している原発疹はなにかを観察する.紅斑,丘疹,結節,膿疱,小水疱など.そして,鱗屑や痂皮など表皮性変化に伴う続発疹にも注目する.必ず触診し浸潤の程度を確かめる.浸潤の触れ方によって病変の及ぶ深さ,肉芽腫の有無を推測する.最も頻度の高い疾患は体部白癬であり,その臨床像は多彩である.鱗屑が付着する,あるいは膿疱を生じている場合には必ず直接鏡検を行う.丘疹あるいは膿疱がみられる場合,毛包一致性か否かを観察する.特徴的な病理所見を示す疾患が多いため,皮膚生検が診断に有用である.②経過:どの程度の期間で生じてきたか.週単位か,月単位か,年単位か.皮膚病変は変化していくため,初期の病変と晩期の病変では違った所見がみられることにも注意が必要である.例えば環状肉芽腫の初期は小結節で環状とならないし,Duhring疱疹状皮膚炎の初期は環状の紅斑で

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