【あざとは】「あざ」は日常生活でよく用いられる言葉で,生まれつき,あるいは幼小児期に生じる皮膚の色調変化または形態変化のことである.「赤あざ」「茶あざ」「黒あざ」などの言葉で用いられる.「あざ」は俗語であるが,医学用語として「あざ」と最も近いのは母斑であろう.母斑は皮膚科特有の疾患概念であり,胎生期の体細胞レベルでの遺伝子異常に基づく発生異常で,皮膚の限局性組織奇形と定義される.母斑は生涯不変ではなく,時間の経過で多少とも大きさ,性状に変化を生じる.例えば,色素性母斑は,幼小児期には黒色調が強く扁平で隆起がないが,成人期を経るにつれて色調が薄くなり,徐々に隆起してくるし,乳児血管腫は生後間もなく出現して急速に大きさを増すが,小学校入学頃までには自然消褪する.
母斑はその発生起源によって表1-56図図図図のように,大きく上皮系母斑,メラニン色素(神経節起源細胞)系母斑,間葉細胞系母斑に分類さ