【概説】梅毒感染後比較的早期に出現する病変を主訴に受診した症例ではいわゆる梅毒血清反応が陰性であることが多いため,その確定診断には病変部位からの検体においてTreponema pallidum(Tp)の存在を証明する必要がある.暗視野法,墨汁法,パーカーインク法,ギムザ染色などの顕微鏡を用いた直接鏡検によるものやPCR法,生検標本の免疫組織化学染色法などが行われる.
検査の進め方
梅毒の病原体Tpは現時点においても培養が不可能であるため,一般細菌の皮膚感染症のように分離培養検査を行って病原体を確定することはできない.また,梅毒ではその診断確定,治療効果の判定などに梅毒血清反応(脂質抗原法およびTp抗原法)を用いるが,一般に感染後約3週の期間を経ないと陽性所見が得られない.よって,いわゆる1期疹である初期硬結,硬性下疳などが存在する症例では,病変からの検体でTpを証明することが診断確定につなが