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Tzanck テスト
Tzanck test
宮地 素子
(福岡大学)

【概説】Tzanckテストは水疱底ないし水疱内の細胞の形態的観察を行うことで水疱性疾患を鑑別する方法である.単純疱疹,水痘・帯状疱疹などのヘルペス性疾患に用いられ,外来で簡単にすぐ行える.


検査の進め方

 単純疱疹,水痘・帯状疱疹の典型例では診断が簡単であるが,診断に迷ったときに外来でできる迅速検査は限られている.Tzanckテストはその数少ない検査法の1つであり水疱底や新鮮なびらん部の塗抹標本,スメアをギムザ液で染色し多核巨細胞が確認できれば診断できる.

1.検査方法

①(正規)ギムザ染色液を用いた方法:水疱蓋をセーレで除去して水疱底を綿棒・セーレで強めに擦過.スライドグラスに塗抹・風乾.メタノールまたはアセトンで固定(2~3分).蒸留水3mLとギムザ原液数滴を混合,滴下.3~15分間染色.裏面から水道水で水洗して観察(所要時間:20~40分).②簡易ギムザ液を用いた方法:水疱蓋をセーレで除去して水疱底を綿棒・セーレで強めに擦過.簡易ギムザ液数滴滴下.カバーグラスをのせてすぐに顕微鏡で観察(所要時間:1~数分).

 簡易ギムザ液の組成:イソプロパノール12mL+プロピレングリコール20mL+ギムザ液15mL+水28mL.

 簡易ギムザ液を用いた方法は洗浄が不要のため洗い場を汚すことがなく真菌鏡検のように溶かす時間を要しないため,これらの全工程は短時間で施行可能である.簡易ギムザ液は長期間の保管ができないため数か月で新しく調製し直す必要がある.正規ギムザ染色では細胞の形態を残すために固定操作が必要となる(簡易ギムザ染色では固定と染色を同時に行う).

2.検査のポイント

・水疱が痂皮性になっているような古い病変や膿疱では陽性所見を得られにくいため新しい水疱を選ぶ.

・出血しないように注意深く水疱底を搔爬し十分に細胞を摂取する.

・顕微鏡は100倍拡大で観察する.周囲の細胞の大きさと比較して明らか

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