診療支援
治療

ステロイド外用薬
Topical corticosteroid
加藤 則人
(京都府立医科大学教授)

【概説】ステロイド外用薬は優れた抗炎症作用をもち,数多くの炎症性皮膚疾患の治療にきわめて有用である.その優れた薬効を最大限に活用するためには,外用局所に皮膚萎縮などの副作用が出現しないよう配慮することが求められる.患者は,ステロイド外用薬に対して漠然とした不安をもっていることが少なくない.ステロイド外用薬を適切に使用して臨床効果を上げるには,処方の際に患者に対してステロイド外用薬を使用する意義と懸念される副作用の可能性,使用法や外用量などについて具体的にわかりやすく説明することが重要である.

【適応】優れた抗炎症作用・免疫抑制作用をもつステロイド外用薬は,接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの湿疹・皮膚炎群,痒疹群,虫刺症,Gibertばら色粃糠疹,薬疹・中毒疹,慢性円板状エリテマトーデス,乾癬,掌蹠膿疱症,扁平苔癬,紅斑症,紅皮症,肉芽腫症,アミロイド苔癬,円形脱毛症など日常の診療で頻繁に遭遇する炎症性皮膚疾患の治療に広く用いられる.また,その細胞増殖抑制作用からケロイドや肥厚性瘢痕の治療にも用いられる.ただし実際の保険適用はステロイド外用薬の種類によって若干の違いがある.

【薬剤のランク,剤形】ステロイド外用薬を最大限に活用するためには,その優れた抗炎症作用を利用するとともに,皮膚萎縮などの副作用が外用局所に出現しないよう配慮することが必要である.そのためには,必要以上に強くなく,かつ十分に効果が得られるステロイド外用薬を選択する必要がある.日本におけるステロイド外用薬のランク分けは,血管収縮作用や二重盲検比較試験などの結果を参考にして,現在,ストロンゲスト(Ⅰ群),ベリーストロング(Ⅱ群),ストロング(Ⅲ群),ミディアム(Ⅳ群,マイルド),ウィーク(Ⅴ群)の5段階に分類されている(表3-1).ステロイド外用薬を処方する際には,皮疹の性状や重症度,部位などを考慮して適切なラ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?