診療支援
治療

レチノイド外用薬(アダパレン)
Topical retinoid(Adapalene)
上尾 礼子
(関西医科大学香里病院准教授)

【概説】レチノイド外用薬(アダパレン)は日本では2008年に薬価収載され,同年,日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡治療ガイドライン」で炎症性痤瘡や面皰の治療薬として推奨された.アダパレンは化学構造上,レチノイドとは異なるが,レチノイン酸受容体に結合し毛包上皮細胞の角化を抑制することで面皰を減少させ,抗炎症作用を有するといったレチノイド様作用を示すことからレチノイド外用薬とされる.これまでのレチノイド外用薬より軽症ではあるが,乾燥や紅斑,刺激感などがアダパレン使用によりみられることがあり,処方時に副作用や使用方法を患者に説明しておくことが大切である.

【薬剤】現在,日本で承認され発売されているアダパレンには0.1%アダパレンであるディフェリンゲルと,アダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%の合剤であるエピデュオゲルがある.ちなみに過酸化ベンゾイルはアクネ桿菌に殺菌的に作用するが,耐性菌ができない抗菌薬とされている.

【適応】尋常性痤瘡.2017年の日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」では,急性炎症期の炎症性皮疹に対して,アダパレン0.1%ゲル,アダパレン0.1%・過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲル,アダパレン0.1%ゲルと外用抗菌薬の併用およびアダパレン0.1%・過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルと内服抗菌薬の併用,アダパレン0.1%ゲルと内服抗菌薬の併用が推奨度Aとされ,炎症軽快後の寛解維持ではアダパレン0.1%ゲルとアダパレン0.1%・過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルが推奨度Aとされている.

【使用方法】1日1回就寝前,洗顔後に患部に適量を塗布する.傷や湿疹のある部分や眼,口唇,鼻翼および粘膜は避けて塗布する.顔全体に塗布する場合は,ゲルをDIP関節から示指の先端までチューブからしぼった長さ(FTU:finger tip unit)の1 FTUを塗布する(1 FTU=

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?