診療支援
治療

抗ヒスタミン薬,抗アレルギー薬
Anti-histamines,Anti-allergic drugs
天野 博雄
(岩手医科大学教授)

【概説】抗アレルギー薬は,狭義ではアレルギー疾患の長期管理治療薬を指す.すなわち抗ヒスタミン薬,メディエーター遊離抑制薬,トロンボキサン阻害薬,ロイコトリエン拮抗薬,Th2サイトカイン拮抗薬の総称である.ステロイドなどは含めない.抗アレルギー薬は,経口薬,注射薬,吸入薬,点鼻薬,点眼薬などさまざまな剤形がある.ここでは皮膚疾患に適応がある薬剤に絞って述べる.蕁麻疹,アトピー性皮膚炎をはじめ炎症性皮膚疾患の多くは痒みを伴う.痒みを惹起する代表的な生理活性物質はヒスタミンであり,マスト細胞や好塩基球から産生,放出される.ヒスタミンは瘙痒性炎症性皮膚疾患の病態に関与する主要なメディエーターであり,神経や血管に存在するヒスタミンH1受容体に結合する.H1受容体が刺激されると,血管透過性が亢進し,血管拡張,浮腫が生じる.また,1次性求心性神経線維終末の感作による瘙痒が惹起される.抗ヒスタミン薬は,H1受容体の抑制作用を有し,瘙痒を伴う炎症性皮膚疾患の治療に広く用いられている.

【適応】蕁麻疹,湿疹・皮膚炎,皮膚瘙痒症,痒疹,皮膚疾患に伴う瘙痒などに適応がある.現在,皮膚疾患に対して,約25種類の抗ヒスタミン薬,抗アレルギー薬を用いることができる.第1世代,第2世代,鎮静性,非鎮静性などを考慮して分類し,代表的な商品名と皮膚の適応疾患,一部の薬剤については最高血中濃度到達時間(Tmax),血中濃度半減期(T1/2)を含めて表3-15に示す.抗ヒスタミン薬は,蕁麻疹に対して治療の第1選択となっている.アトピー性皮膚炎では補助的治療薬の位置づけである.

【薬剤】抗ヒスタミン薬はヒスタミンH1受容体抑制薬であり,これまではH1受容体に拮抗的に作用すると考えられていたが,近年は逆アゴニスト(inverse agonist)として理解されている.すなわち,H1受容体には活性型と不活性型

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?