診療支援
治療

免疫抑制薬
Immunosuppressive drugs
鳥居 秀嗣
(JCHO東京山手メディカルセンター診療部長)

【概説】皮膚科領域で使用される免疫抑制薬には,ステロイド,シクロスポリン,メトトレキサート,シクロホスファミドなどがある.このうちステロイドについては別項にあり(,「ステロイド薬」の項参照),本項では比較的使用頻度の高いシクロスポリンとメトトレキサートにつき解説する.


Ⅰ シクロスポリン

【概説】当初,移植後の拒絶反応を抑制する目的で使用されていたシクロスポリン(CyA)は,乾癬に対し1992年に保険適用となり,以来長年にわたり本症に対する主要な治療薬と位置づけられてきた.近年,中等症以上の乾癬に対しては,生物学的製剤による治療が主流となりつつあるが,なお利便性や費用などの観点からCyAは今後とも乾癬治療における重要な選択肢であり続けるものと思われる.またCyAは2008年にアトピー性皮膚炎に対しても保険適用となり,重症アトピー性皮膚炎の治療薬としてもその有用性は確立されている.一方で,本剤は血圧上昇や腎機能などの副作用に対しモニタリングが必要な薬剤であり,その使用に際しては細かい注意が必要である.

【適応】皮膚科領域では以下の疾患に適応がある.尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上あるいは難治性の場合),膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症,関節症性乾癬.アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者).

【使用方法】投与前スクリーニングとして,血圧測定および血液(肝腎機能,尿酸ほか)・尿検査に加え,感染症や悪性腫瘍などの合併や既往,さらには併用薬剤についても確認が必要である.乾癬に対する用法,用量に関しては従来,5mg/kgを1日2回に分けて開始し,維持量は3mg/kg/日を標準としていたが,その後の薬物動態解析から1日1回投与のほうが有効性,安全性の面で優れていることが明らかとなり,近年は1日1回食前投与が主流となっている.投与中も毎回の血圧測定,数か月ごとの血液・尿検査は

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