診療支援
治療

アレルギー性接触皮膚炎
Allergic contact dermatitis
本田 哲也
(浜松医科大学教授)

病態

 アレルギー性接触皮膚炎は,主にハプテンとよばれる低分子量物質に対する抗原特異的免疫反応であり,CoombsとGellによる分類上はⅣ型アレルギーに分類される.正確な頻度は不明だが,臨床的に非常に多く遭遇する疾患である.

【病因・発症機序】病態は感作相と惹起相に分けられる.感作相では,皮膚から侵入したハプテンが皮膚樹状細胞によって所属リンパ節まで運ばれ,抗原特異的T細胞の分化・増殖を誘導する.通常,この過程を臨床的にはとらえることができない.感作成立ののち,再度同一のハプテンが皮膚に侵入すると,皮膚樹状細胞は皮膚において抗原特異的T細胞(主にCD8陽性T細胞)に抗原を提示し,T細胞の活性化を誘導する.抗原特異的T細胞から放出されるさまざまなサイトカイン(インターフェロンγ,granzyme Bなど)がケラチノサイトや血管などに作用し,皮膚炎症が惹起される.臨床的には,抗原曝露後数時間~半日後頃より抗原曝露部位に一致した瘙痒が出現する.24~48時間後には紅斑,浮腫,漿液性丘疹,水疱などの湿疹性病変が形成される(図4-1).搔破により,皮疹は接触部位を越えることもある.原因となる刺激が継続し,適切な治癒に向かわない場合,色素沈着や苔癬化を形成する.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】あらゆる炎症性皮膚疾患が鑑別に挙がる.皮疹出現部位によって想起される皮膚疾患はさまざまである.頭皮,顔面,鼠径部などの脂漏部位や間擦部位であれば,脂漏性皮膚炎,尋常性乾癬,アトピー性皮膚炎,頭部白癬などが鑑別に挙がる.手指であれば,皮脂欠乏性湿疹,汗疱状湿疹,掌蹠膿疱症などの可能性も考慮する.露光部位では日光過敏症の可能性もある.また,時にBowen病や日光角化症,乳房外Paget病などの腫瘍性病変との鑑別が必要なときもある.これらの皮膚腫瘍は湿疹性病変と類似した臨床像をとることがあり,注意が必要

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