病態
手湿疹は主に外来性の刺激物質や接触アレルゲン(ハプテンや蛋白抗原)が皮膚に接触することによって発症する湿疹病変である.
【頻度】本邦での疫学調査はないが,海外の論文を参考にするとおよそ罹患率が10%程度で,生涯罹患率が15~30%と,高い頻度で発症する.女性のほうが男性より多い.
【病因・発症機序】職業上で頻繁に使用する物質が原因になるが,そもそもアトピー性皮膚炎があり,バリア機能が弱いことなどが発症リスクの要因となる.機序は刺激性接触皮膚炎,アレルギー性接触皮膚炎,蛋白質接触皮膚炎があり,刺激性接触皮膚炎の頻度が最も高い.原因物質は多岐にわたるが,職業で問題になるものをまとめた(表4-3)図.
診断
【鑑別診断で想定すべき疾患】手白癬,疥癬,乾癬,掌蹠膿疱症,皮膚筋炎に起こる角化性の紅斑(mechanic's hand)などが挙げられる.顕微鏡検査,手以外の部位の病変の有無,特徴的形態や合