病態
汎発性皮膚瘙痒症で最も多いのは加齢による皮膚の乾燥が誘因となったものである.一方,症候性に生じるものとしては腎不全,糖尿病,肝障害,甲状腺機能異常,Hodgkinリンパ腫,真性多血症といった血液疾患やほかの固形腫瘍,神経疾患などがある.また,妊娠やHIV感染,薬剤,心因性疾患などと関連する瘙痒症もある.
これらの状況下における痒みの機序の多くは十分に解明されておらず,いまだ研究途上にある.一般に抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)の効果が限定的であることが多いため,ヒスタミン以外の起痒物質,すなわちサブスタンスPや,トリプターゼなどのプロテアーゼ,セロトニンなど,さまざまなものがかかわっているといわれている.さらに血液透析患者や慢性肝疾患患者ではオピオイド受容体を介した中枢性の痒みが,また胆汁うっ滞時の痒みではlysophosphatidic acidの関与もいわれている.加齢や乾燥で