診療支援
治療

紅皮症
Erythroderma
野村 尚史
(京都大学大学院難病創薬産学共同研究講座特定准教授)

病態

 全身の皮膚(90%以上)に紅斑,紅潮を生じた状態を紅皮症という.種々の程度の落屑を伴う.剝脱性皮膚炎(exfoliative dermatitis)ともいう.さまざまな疾患に続発するが,紅皮症に至る共通の病態は不明である.全身の皮膚毛細血管を拡張させる何らかの因子の存在が示唆される.

【頻度】年間発生率は10万人あたり1~13人,男女比2~5:1と男性に多く,好発年齢は42~61歳である.

【病因・発症機序】既存の皮膚疾患の増悪,薬剤,内臓悪性腫瘍が原因となることが多い(表4-4).真菌感染症や疥癬に注意する.自己免疫性水疱症も紅皮症を呈しうる.悪性腫瘍続発性紅皮症として,菌状息肉症やSézary症候群,成人T細胞白血病・リンパ腫などの血液疾患に注意する.

【臨床症状】悪寒,発熱,脱水,低蛋白血症,電解質異常,全身の浮腫,倦怠感,表在リンパ節腫脹,深在リンパ節腫脹などの全身症状を呈する.

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