病態
Behçet病は皮膚,粘膜・眼などの臓器に炎症を生じる原因不明の疾患である.発症機序として,環境因子や遺伝因子など複数の因子の関与が推測されている.環境因子として居住地域,細菌やウイルスの持続感染,気候などの関与が推測されている.遺伝因子として,ゲノムワイド解析でIL-23,IL-10領域の異常が明らかにされている.そのほか,遺伝子多型解析でTLR4遺伝子変異が認められている.また,患者の約半数でHLA-B51が陽性である.
【臨床症状】Behçet病は口腔内アフタ性潰瘍,外陰部潰瘍,皮膚症状を呈し,眼をはじめ多臓器に炎症を生じる.
1.口腔内アフタ性潰瘍(図6-10)図
ほぼすべての患者の初発症状,あるいは経過中に生じる粘膜症状であり,口唇・舌・頰粘膜・歯肉部・口蓋に多発する.時に咽頭にも生じ,これらは痛みを生じる.アフタは初期に浮腫紅斑であるが,中心に潰瘍を生じ,次第に上皮化する.その形態より小アフタ型,大アフタ型,疱疹型に分類される.Behçet病ではしばしば大アフタ型で大きい穿掘性の潰瘍となり,また短期間に多発する.小アフタ型の場合には,再発性口腔内アフタ(RAS:recurrent aphthous ulcer)と臨床症状が類似している.またほかの鑑別として口唇ヘルペスがある.
2.外陰部潰瘍
Behçet病の初発症状としてしばしばみられる.男性では陰囊,女性では陰唇に生じることが多い.穿掘性の潰瘍であり,激痛を伴う.しばしば多発し,再発する.鑑別に単純ヘルペスが挙がる.
3.皮膚症状
結節性紅斑(図6-11)図,毛囊炎(痤瘡)様皮疹,血栓性静脈炎,針反応がある.①結節性紅斑様皮疹:Behçet病で最も多い皮膚症状である.下腿や前腕に生じる紅色結節で,短期間に生じ,2週間以内に消褪する.自発痛,圧痛がある.結節性紅斑はBehçet病以外でも,咽頭炎などの急性炎症に続
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