病態
膿疱性乾癬は,全身あるいは限局性に無菌性膿疱が紅斑上に多発し,尋常性乾癬との移行や混在を示すことがある,乾癬の一型と位置づけられる一群の疾患である.膿疱性乾癬の定義は成書によって異なり,米国では掌蹠膿疱症を膿疱性乾癬の限局型として含めているが,本邦では掌蹠膿疱症は独立した疾患としてとらえるほうが一般的である.ここでは,発熱などの全身症状とともに全身に膿疱を生じる膿疱性乾癬(汎発型)について述べる.ここで述べる膿疱性乾癬(汎発型)は厚生労働省の指定難病であり,circinate annular型や尋常性乾癬の一時的膿疱化症例は含めない.
膿疱性乾癬(汎発型)には,急性汎発性膿疱性乾癬(von Zumbusch型),小児汎発性膿疱性乾癬,妊娠に伴って発症する疱疹状膿痂疹と稽留性肢端皮膚炎の汎発化が含まれる.
【頻度】頻度は不明であるが,乾癬と診断される患者のうちの1%ほどを占めるとされている.
【病因・発症機序】病因・発症機序は不明である.尋常性乾癬が先行する症例や,治療過程で尋常性乾癬の皮疹を生じる症例があることから,その病態には尋常性乾癬と共通する部分が存在することが考えられる.しかしながら,膿疱性乾癬(汎発型)は,尋常性乾癬には通常みられない発熱などの全身症状を伴い,さらに関節症状,眼病変などを伴うことが多く,長期にわたる炎症によって2次性のアミロイドーシスを生じることもあり,全身炎症性疾患としてとらえるべき疾患である.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】急性汎発性膿疱性細菌疹,角層下膿疱症,壊疽性膿皮症,急性汎発性発疹性膿疱症,膿疱型薬疹などを鑑別する必要がある.これらは,病理学的所見や臨床経過から鑑別が可能である.①急性汎発性膿疱性細菌疹:咽頭炎などの細菌感染に続発して,全身に孤立性の膿疱が多発する疾患である.通常,膿疱性乾癬に認められるような浮腫性紅斑を伴わない.抗菌
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