病態
関節症性乾癬は,乾癬患者に特有の関節炎を生じた乾癬であり,特徴的な症例の診断は容易であるが,時に診断に迷う症例も存在する.診断基準や亜型分類がいくつか提唱されているが,いずれも十分とはいえない.関節症性乾癬の炎症の特徴は,腱付着部,仙腸関節と脊椎,末梢関節の滑膜,の3者に炎症の場があることである.関節の不可逆的変形をきたす場合があり,早期の診断・治療が重要である(図9-5)図.
【頻度】乾癬患者の10~15%に生じるとの報告がある.
【病因・発症機序】発症機序は不明であるが,遺伝的素因と,MHCクラスⅠを介したCD8陽性T細胞のクローナルな増殖が関与していることが示唆されている.遺伝的素因としては,HLA-B27,Cw6が特に若年発症の関節症性乾癬の発症と関連があることが報告されている.HLA-B,CなどのMHCクラスⅠ分子は,ウイルスなどが感染した細胞質内の蛋白をCD8陽性T細胞に提示する役割を担うが,関節症性乾癬患者の関節液中にはクローナルなCD8陽性T細胞の増加が報告されており,何らかの自己抗原の存在あるいは微生物の関与が推測されている.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】乾癬に伴った関節リウマチや変形性関節症を鑑別する必要がある.脊椎炎を生じるものでは強直性脊椎炎との鑑別も必要である.また,掌蹠膿疱症は乾癬の類縁疾患であり,時に乾癬様の皮疹を呈するが,胸肋鎖関節炎その他の関節炎を伴うことがあり,関節症性乾癬との鑑別が必要となる.
【診断のポイント】①関節症性乾癬は,リウマトイド因子陰性の脊椎関節炎(seronegative spondyloarthritis)として分類される一群の疾患に含まれる.これらの疾患群には,強直性脊椎炎,Reiter症候群なども含まれる.②関節症性乾癬の関節炎の特徴がいくつか挙げられる.遠位指節間関節の炎症であること,指趾炎があること,付着部炎
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