診療支援
治療

毛孔性紅色粃糠疹
Pityriasis rubra pilaris
秋山 真志
(名古屋大学教授)

病態

 Griffithsは,本症を発症時期と臨床像から5型に分類したが,その後6型(HIV関連型)が加えられ,現在6型に分類されている.1型(古典的な成人発症型)が,全体の約半数を占め,1~3年で自然治癒する.2型(非定型の成人発症型)は経過が長く,魚鱗癬様の臨床像を示す.3型(古典的な若年発症型)は若年発症例で,1~3年で自然治癒することが多い.4型(限局性の若年発症型)では,肘や膝などに角化性紅斑と毛孔性丘疹を生じる.5型(非定型の若年発症型)は幼小児期に発症し,慢性の経過をとり,常染色体性優性遺伝性で,CARD14の機能獲得変異による自己炎症性角化症である.

【頻度】発症年齢は,小児期と40~60歳の成人にピークが認められる.男女差はない.

【病因・発症機序】病因は多くの症例で不明であるが,5型はCARD14の機能獲得変異による.遺伝子CARD14によってコードされる蛋白CARD14は,表皮細胞に発現しNFκBを活性化するが,CARD14の機能獲得変異を有する患者では表皮でNFκBシグナル経路の過剰活性化をきたし,自己炎症性角化症としての本症5型を発症する.6型は,HIV感染が病因である.本症の一般的な発症のトリガーとして,ウイルス感染,細菌感染,自己免疫性疾患,悪性腫瘍,CARD14のバリアントが知られている.

【臨床症状】四肢伸側,胸腹部を中止に多発する,紅色調の角化性丘疹,局面で鱗屑を伴う.発赤を伴う角化性の局面内に角化性小丘疹が多発し,おろし金様を呈することもある.掌蹠では角化と発赤が顕著である.時に紅皮症化する.自覚症状はないことが多い.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】乾癬との鑑別が重要である.幼児期発症の難治例では,魚鱗癬,変動性進行性紅斑角皮症との鑑別が必要である.皮膚T細胞リンパ腫,掌蹠角化症,脂漏性皮膚炎,薬疹,アトピー性皮膚炎なども鑑別診断に挙げられる.

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