水疱症は先天性表皮水疱症と自己免疫性水疱症に大別される.昨今,厚生労働省の指定難病が整理され,2015年より施行された新たな法律により,水疱症としては,天疱瘡,類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む),表皮水疱症が難病指定を受けている.一方,2010年には日本皮膚科学会から「天疱瘡診療ガイドライン」が,2017年には「類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)診療ガイドライン」が提示され,日本国内での診療レベルの向上に貢献してきた.日常臨床で最も遭遇しやすいのは水疱性類天疱瘡であるが,近年ある特定の薬剤により誘発される水疱性類天疱瘡が注目されてきている.また,表皮水疱症に対する新たな再生医療も治験レベルで開始されている.本項では,水疱症をとりまく最近の話題について触れる.
1.天疱瘡における新しい治療法:抗ヒトCD20抗体療法
天疱瘡は,抗Dsg3抗体あるいは抗Dsg1抗体によって生じる自己免疫疾患である.自己抗体はB細胞が産生することから,自己反応性B細胞がその病態においてきわめて重要な働きをしている.抗CD20抗体であるリツキサンは,CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫に保険適用が通ったあと,現在では,炎症性疾患である多発血管炎性肉芽腫症,顕微鏡的多発血管炎,特発性血小板減少性紫斑病などに有効な治療として用いられてきている.リツキサンはB細胞を除去できるため,天疱瘡においてもその効果は期待できる.
2017年Jolyらは,天疱瘡治療におけるリツキサンの有効性についてLancetに発表した.多施設共同オープンラベル無作為化試験で行われた試験では,プレドニゾロン(プレドニン)単独群とプレドニン+リツキサン併用群を比較しているが,併用群のほうが,プレドニン中止後でも有意に寛解状態を維持できている結果が報告され,リツキサンの有用性が証明された.この天疱瘡における抗ヒトCD20抗体療法は同
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