診療支援
治療

水疱性類天疱瘡
Bullous pemphigoid
氏家 英之
(北海道大学教授)

病態

 水疱性類天疱瘡は70歳代以上の高齢者に好発する,最も頻度の高い自己免疫性水疱症である.表皮基底膜部にIgG自己抗体や補体が沈着する表皮下水疱症で,皮膚や粘膜に水疱が生じる.

【病因・発症機序】表皮基底膜部のヘミデスモソームの構成蛋白であるBP180(ⅩⅦ型コラーゲン:COL17)やBP230に対する自己抗体によって生じる.近年,dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬の使用に伴う発症例が増加している.

【臨床症状】全身に瘙痒を伴う浮腫性紅斑や緊満性水疱,びらんが多発する(図10-3).紅斑が乏しい非炎症性の症例もある(図10-4).約10~20%の患者では口腔などの粘膜に水疱やびらんを生じる.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】多発性の水疱をきたしうる疾患(多形紅斑や薬疹,虫刺症,疥癬など)のほか,他の自己免疫性水疱症(天疱瘡,後天性表

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