病態
線状IgA水疱性皮膚症(LABD:linear IgA bullous dermatosis)は表皮基底膜部に対するIgA自己抗体によって生じる自己免疫性水疱症である.緊満性水疱や紅斑上に環状配列する小水疱がみられることが多い.
【頻度】40歳をピークとする成人型と10歳未満の小児型がある.発症頻度は100万人あたり0.5~2.3人と報告されている.性差は小児では男児にやや多い傾向があり,成人では男女ほぼ同等である.
【病因・発症機序】表皮基底膜部に対するIgA自己抗体による自己免疫学的機序により基底膜部の接着障害を生じると考えられている.IgA自己抗体の標的抗原は多様性がある.1M食塩水剝離皮膚を用いた蛍光抗体間接法で,表皮側に反応するlamina lucida型と,真皮側に反応するsublamina densa型に分類される.さらに,その両者に反応がみられる鏡像(mirror image)型がある.lamina lucida型ではBP180(ⅩⅦ型コラーゲン)に対するIgA自己抗体を検出し,主たる標的抗原は切断された分解産物であるBP180(97kDa LADB97,120kDa LAD-1)と考えられている.sublamina densa型の標的抗原は不明な例が多いが,一部の症例でⅦ型コラーゲンに対するIgA自己抗体を検出する.薬剤によって誘発されることがあり,原因として最も多い薬剤にバンコマイシンが知られている.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】Duhring疱疹状皮膚炎,その他の表皮下水疱を生じる自己免疫性水疱症(類天疱瘡,後天性表皮水疱症),多形滲出性紅斑.
【臨床症状】①強い瘙痒感を伴う浮腫性の環状紅斑とその辺縁に緊満性小水疱が環状配列する.腹部体幹,顔面などに多くみられる.時に口腔内や結膜などの粘膜疹を伴うことがある.②悪性腫瘍や潰瘍性大腸炎などの合併例が散見
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