病態
後天性に発症する自己免疫性水疱症で,表皮真皮間接合を担うⅦ型コラーゲンを標的とする自己抗体により発症すると考えられている.瘙痒性紅斑と緊満性水疱が多発する炎症型と,炎症所見は乏しく機械的部位に水疱びらんを生じる非炎症型が存在し,2:1の割合で炎症型が多い.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】水疱性類天疱瘡,晩発性皮膚ポルフィリン症,虫刺症など.
【問診で聞くべきこと】Crohn病や潰瘍性大腸炎に合併することがあるため,炎症性腸疾患の有無を確認する.
【臨床症状からの診断】炎症型は水疱性類天疱瘡と類似し,臨床症状のみから両者を鑑別することは困難である.非炎症型では瘢痕形成が強い.本症では上皮化部位に稗粒腫が多発する.口腔や食道などに粘膜疹を生じることもある.
【必要な検査とその所見】病理組織学的に水疱は表皮下に生じ好酸球も浸潤するが,症例によって程度はさまざまである.①蛍光抗体直接法では,表皮真皮境界部にIgGとC3の沈着を認める.②1M食塩水剝離皮膚を用いた蛍光抗体間接法を施行すると,IgGは人工的水疱の真皮側に反応する.③ELISA法やウエスタンブロット法を施行すると,抗Ⅶ型コラーゲン自己抗体を同定できる.
治療
ステロイドの内服(0.5~1.0mg/kg/日)が治療の基本である.コルヒチンやジアフェニルスルホンが有効な症例もある.本症は難病に指定されている(指定難病162,https://www.nanbyou.or.jp/entry/4525).
Px処方例 下記を併用する.
プレドニン薬錠(5mg) 1日4~12錠を2~3回に分服 症状の改善に伴い漸減
ガスター薬錠(20mg) 1回1錠 1日2回 [保外]
アクトネル薬錠(17.5mg) 1回1錠 週1回 [保外]
【予後と経過】治療によく反応する症例から難治性までさまざまである.非炎症型は難治の症例が多い.
□患者説明のポイント
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