病態
限局性強皮症(LSc)の本態は,「皮膚から骨にまで至る垂直方向の組織障害・破壊」であり,萎縮や皮膚硬化はその障害・破壊の結果生じるものであり,本症の本質ではない.Raynaud症状,肢端皮膚硬化,内臓病変を伴わないため全身性強皮症とは全く異なる疾患である.それゆえ本症の予後は良好である.しかし皮膚硬化が深部に及ぶと,患肢の萎縮・拘縮,顔面の変形,筋けいれん,小児では患肢の発育障害,頭部の場合には永久脱毛斑などが生じQOLを大きく障害する.
【病因】LScはBlaschko線に沿って出現する.1つのBlaschko線は,外胚葉原基の隆起である原始線条に沿って分布する,1つの前駆細胞に由来するため,その前駆細胞にDNAの軽微な体細胞突然変異が生じた場合,その前駆細胞に由来するBlaschko線は他のBlaschko線と遺伝子のレベルで異なることになり,体細胞モザイクが生じる.通常はその発現型の差は微細であり,免疫細胞によって認識されないが,外傷などをきっかけとして,その軽微な差が認識されると考えられる.その結果,体細胞変異を有する1つの前駆細胞からなるBlaschko線を単位として組織障害,そしてその結果として萎縮や線維化が生じるものと考えられる.
診断
1.形態学的な病型分類
限局性強皮症は形態学的に,斑状強皮症(モルフェア),線状強皮症,汎発性限局性強皮症(GM:generalized morphea)の3つの亜型に分類される.
モルフェアは,数個までの類円形の境界明瞭な硬化局面が散在性に生じるものである(図12-9)図.初期には辺縁でライラック輪とよばれる発赤を示す.
線状強皮症は線状の硬化局面を呈し(図12-10)図,しばしば下床の筋肉,骨をも侵す(図12-11,図12-12)図図.線状強皮症が前額に生じた場合には,剣創状強皮症(en coup de sabre)とよば
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