診療支援
治療

皮膚筋炎
Dermatomyositis
濱口 儒人
(金沢大学准教授)

病態

 皮膚筋炎(DM:dermatomyositis)は皮膚および筋に炎症を生じる疾患であり,代表的な合併症は間質性肺炎と悪性腫瘍である.DMの臨床像は多彩であり,複数のサブセットに分類される.DMの診療にあたっては,皮疹,検査所見,画像所見からどのサブセットかを見極め,適切な治療方針を立てることが重要である.

【頻度】有病率は10万人あたり3~8人,年間の新規発症数は1,000~2,000人と推定されている.男女比は1:3で発症のピークは5~9歳と50歳代の2峰性である.

【鑑別診断で想起すべき疾患】甲状腺機能低下症,薬剤(ステロイド,スタチン製剤),神経筋疾患は筋力低下の原因となりうる.皮疹の鑑別として,接触皮膚炎,薬疹,成人Still病などが挙げられる.他の膠原病の合併(オーバーラップ症候群)に注意が必要である.


診断

【問診,理学的所見】

1.皮膚症状

 診断基準に含まれる皮疹はヘリオトロープ疹(両側性の上眼瞼の浮腫性紫紅色斑)とGottron丘疹・徴候(手指関節背面の紫紅色丘疹あるいは紫紅色斑で時に角化を伴う)(図12-14)の2つであるが,それ以外にも多様な皮疹が出現する.手には爪上皮出血点,爪囲紅斑が高頻度にみられる(図12-14).抗MDA5抗体では逆Gottron徴候とよばれる手指関節の屈側あるいは手掌の紅斑がみられ,診断的価値が高い(図12-15).顔面では額や鼻翼,下顎などの脂漏部位にみられる脂漏性皮膚炎様の紅斑,蝶形紅斑に類似した頰部紅斑が出現する.耳介,耳前部,頸部にも好発する.体幹の皮疹は浮腫性紅斑,scratch dermatitis(むち打ち様紅斑ともよばれる),多形皮膚萎縮(褐色~白色で毛細血管拡張を伴う皮膚の萎縮)が特徴で,Vサイン(前胸部),ショール徴候(肩)ともよばれる(図12-16).痒みを伴うことが多い.Raynaud現象,mecha

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