診療支援
治療

混合性結合組織病
Mixed connected tissue disease:MCTD
簗場 広一
(医療法人社団どんぐり皮膚科副院長)

病態

 混合性結合組織病(MCTD)とは診断基準を満たさない全身性エリテマトーデス(SLE)様症状,全身性強皮症(SSc)様症状,多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)様症状を併せもち,なおかつ血清学的に抗U1-RNP抗体が検出される疾患である.海外ではMCTDは単なるオーバーラップ症候群の一部に過ぎないとして,疾患概念を否定する意見も多いが,わが国では独立した疾患として広く認識されている.


診断

 MCTDの診断に際しては,厚生労働省研究班による診断基準が用いられることが多い.Raynaud症状,手指の腫脹,肺高血圧症のいずれかに加え,抗U1-RNP抗体が陽性であり,なおかつSLE様所見,SSc様所見,PM/DM様所見のうち2つ以上の病態を伴う場合MCTDと診断できる.

【臨床症状からの診断】①Raynaud症状:寒冷刺激により手指血管のれん縮が起こり,典型的には三相性(白→紫→赤)の変化をみせる現象である.MCTDのほぼ全例にみられ,その大部分で初発症状となる.②手指・手背の腫脹(図12-17):手指から手背にかけて腫脹がみられ,ソーセージ様手指(sausage-like appearance)ともよばれる.③爪上皮出血点(図12-18):点状または線状の出血点としてみられ,爪郭部毛細血管のループ状拡張を伴うことが多い.SScのほぼ全例にみられる症状であるが,MCTDでも約70%で陽性となる.

【必要な検査とその所見】①肺高血圧症:肺高血圧症の有無に関する精査が必須である.肺高血圧症はMCTDの約5~10%に合併し,死因の約3割を占める.肺高血圧症のスクリーニングとして有用なものとしては,心ドップラーエコー,肺機能検査,血中BNP値が挙げられる.肺高血圧症の存在が強く疑われた場合には,右心カテーテル検査を行い安静時の肺動脈平均圧が上昇していることを確認する必要がある.②間質性肺疾

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