診療支援
治療

成人Still病
Adult Still's disease
神人 正寿
(和歌山県立医科大学教授)

病態

 小児の全身型特発性関節炎であるStill病が成人(16歳以上)まで遷延した例と,成人発症例を合わせて成人Still病と称する.発熱,関節炎,皮疹などの多彩な臨床症状を呈し,白血球数,CRP,血清フェリチン値の上昇や肝機能異常を伴うが抗核抗体やリウマトイド因子は陰性の,原因不明の炎症性疾患である.

【頻度】人口10万人あたり3.7人の頻度とされる.やや女性に多く,20歳前後と40歳前後に発症のピークがあるが,高齢発症することもある.

【病因・発生機序】病因はいまだ不明である.遺伝因子と環境因子の両方が関与している可能性があり,前者としては特定のHLAアレルとの相関も報告されているが,確定はされていない.環境因子としては感染症が想定されており,風疹ウイルス,麻疹ウイルス,サイトメガロウイルス,パルボウイルスB19,マイコプラズマ,クラミジアなどとの関連が報告されている.さらには,血清フェリチン値や血中インターロイキン6値の上昇がみられることから,マクロファージの活性化が発症に関与すると考えられている.

【臨床症状】①発熱:39℃をしばしば超える高熱が夕方から夜間に出現して朝には改善する弛張熱もしくは間欠熱が特徴であるが,日中に出現することもある.悪寒を伴うことがあるが,発熱のわりには消耗感がなく,全身状態は比較的良好なことが多い.②関節症状:頻度が高く,初診時には存在しないことはあるが,経過中にはほぼ全例で生じる.罹患部位としては,手や膝関節などの中~大関節に多いが,中手指節関節や中足指節関節にも生じうる.基本的には非破壊性であるが,一部の症例では骨びらんあるいはスワンネック変形もみられる.③皮膚症状:ほとんど全例に出現する.定型疹と非定型疹に分類され,前者はサーモンピンク疹と称され,瘙痒や浸潤を伴わない数mm大の紅~桃色の皮疹である.体幹,四肢などさまざまな場所に出現し,また

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