病態
四肢遠位(前腕や下腿)を中心とした急性あるいは亜急性の板状の皮膚硬化と,それに伴う関節拘縮を特徴とする.
【頻度】20~60歳に好発するが,小児や高齢発症例も報告されている.やや男性に多い.
【病因・発症機序】いまだ不明であるが,自己免疫疾患を合併することや高ガンマグロブリン血症を伴うことなどから自己免疫異常が関与すると考えられている.例えば,しばしば過度の運動や外傷の既往がみられることから,傷害された筋膜に生じる炎症と,組織から流出した抗原に対する自己免疫反応が原因である可能性がある.その他,薬剤や感染症が契機となりうる.
診断
peau d'orange(病変部皮膚での特徴的な腫脹と皺の形成)やGroove sign(表在静脈に沿って病変部皮膚が陥凹する)といった特徴的な臨床像,病理組織学的所見(筋膜の肥厚と好酸球浸潤をしばしば伴うリンパ球・マクロファージの浸潤),そして血液検査所見(好酸球増多,高ガンマグロブリン血症,高アルドラーゼ血症)や画像所見(MRIにおけるT2強調画像での筋膜の高信号)を総合して行う.
【鑑別診断で想起すべき疾患】全身性強皮症との鑑別が必要だが,強皮症では手指・顔面から始まる皮膚硬化や間質性肺疾患などの線維化,あるいは爪郭部出血点や肺高血圧症などの血管病変,そして抗核抗体などの免疫異常を伴いやすい.
治療
ステロイド内服が第1選択である.難治例ではステロイドパルス療法,あるいは免疫抑制薬の追加などが考慮される.
Px処方例
プレドニン薬錠(5mg) 1日6錠を2回に分服(朝4錠,昼2錠)
【予後と経過】一般に内臓病変はみられないため生命予後は良好であるが,治療の遅れにより進行した皮膚硬化や関節拘縮が遷延することがあるため,早期の治療が望ましい.
□患者説明のポイント 全身性強皮症とは異なり,内臓に異常をきたすことはないが,治療の遅れにより手足の動きづらさが
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