病態
自己炎症性症候群は,獲得免疫の制御異常による自己免疫疾患に対して,自然免疫や炎症の制御異常を原因とする稀少疾患として命名されたものである.発熱や皮疹,関節炎などを呈し感染症,アレルギー,自己免疫疾患に似るが,無菌性でアレルゲンなどの誘因がなく,各種自己抗体は陰性である.自己免疫(autoimmunity)のautoが“self”を意味するのに対し,自己炎症(autoinflammation)のautoはむしろ“automatic”や“autonomous”の意味ととらえられる.本項では難病に指定されている遺伝性の7疾患1疾患群について解説する(表12-10)図.
【病因・発症機序】①微生物やさまざまな危険・傷害刺激に反応して炎症反応を惹起するのに必要な細胞内分子複合体をインフラマソームとよび,NLRP3(クリオピリン)だけでなくNLRC4やピリンもインフラマソームを形成する.これらの変異によってインフラマソームが異常に活性化しIL-1βが過剰に産生される.②ウイルス感染によってI型インターフェロン(IFNα/β)が産生されるが,DNAやRNAの代謝や修飾にかかわる酵素や受容体の変異によって,IFNα/βが異常に産生されIFN応答が過剰となる.プロテアソーム関連遺伝子の変異によっても,詳細不明ながらIFN応答過剰となる.③その他,NOD2やA20の変異によってNF-κBの異常活性化を認める.
診断
若年発症の反復性・慢性炎症を呈し,疾患によって特徴的な症候を示す(表12-10)図.蕁麻疹様,丹毒様,苔癬様,痤瘡様,凍瘡様など皮疹も特徴的であるが,病理所見での炎症細胞浸潤は非特異的で血管炎を伴う場合もある.血液検査では発作時に各種炎症マーカーが陽性となる.CTなどの画像検査や消化管内視鏡も有用である.遺伝子検査で確定し,鑑別診断を含めたパネル解析も有用であるが,結果の解釈には
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