病態
川崎病はChapel Hill Consensus Conference(CHCC)2012分類上,中型血管炎に分類される血管炎である.病因は不明だが,細菌・ウイルス感染など何らかのきっかけで免疫系の異常活性化が起こり,それによって誘導された炎症性サイトカインストームが血管炎を引き起こすと考えられている.冠動脈に最も強い血管炎が生じ,これによって生じた血管壁の破壊によって冠動脈は拡大し,冠動脈瘤を形成する.冠動脈瘤によって誘導される易血栓状態は,急性冠症候群のリスクを上昇させ,生命予後に大きくかかわる.したがって,川崎病診療において皮膚科医に求められる重要な役割は,主として皮膚症状から川崎病を疑い,早期に小児科をはじめとする専門科へ紹介することである.
【頻度】本邦における年間罹病者数は15,000人以上で,発症のピークは1歳前後,男女比1.4:1と男児に多く,同胞発症リスクは10倍とされる.
【臨床症状】川崎病の診断は臨床症状に基づいて行われるため,症状の把握は重要である.初発症状は発熱であり,2~10日間の経過で他の症状が出現する.川崎病の典型的な皮疹は地図状の紅斑であるが,さまざまな形態を伴う.診断において重要となる6つの主要症状については,表13-2図に示した.
診断
日本川崎病学会から診断の手引きがインターネット上に公開されている.同ホームページには症例写真の掲載もなされており,実臨床において大変有用である.表13-2図に示した6つの主要症状のうち,5つ以上の症状を伴う場合に川崎病と診断する.ただし,4つの症状しか認められずとも,経過中に冠動脈瘤が確認され,他の疾患が除外されれば川崎病と診断する.これらの診断要件を満たさない,いわゆる不全型川崎病も存在し,この場合にも冠動脈瘤を形成する場合がある.このため,川崎病を疑った場合には,症状が揃わずに診断に確証をもてずと
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